終末遊園地

誰だって辛いときがある。
でも、そんな時に声を上げて泣くことすら許されないとしたら…

青年、高見沢は東京都臨海区の出身である。
父親をリンカイ病で亡くし、母と妹との三人家族。
だが、妹、瑠奈もまたリンカイ病に冒され延命治療のため病院で暮らしている。
多額の入院費は生活を圧迫し、その出自故に満足に就職できない彼は僅かな家財すら手放してしまい、絶望する。
ところが、ひょんな事から彼の元に仕事の誘いが来る。
その仕事は、着ぐるみの中のスーツアトラクター。
だが、ただの遊園地に思えたそこは福祉目的の国策会社であった。

生活のために働きだした彼だったが、職場での経験は彼を次第に変えていった。
自分は何のために生きるのか、誰がために働くのか…
暗い世情、息苦しい監視社会。そして、世間の冷たい視線。
しかし彼は逆風に構わず模索を続け、やがて思考は一つの答えに結実する。
転機は、ある事件がきっかけだった…