B5サイズ 作:GLUMip 部屋に入って来た名雪はベッドの上に座り込んだ。 「ねぇ、祐一、そこの本見てもいい?」 …ぎくり 「名雪にはつまらないぞ」 「そんな事ないよ。見せてよ」 ま、まずい、相沢祐一ここ6年来の大ピンチだ。 「ねぇ、なんでそんなにB5の本があるの?」 脇の下に冷たいものを感じる。 下から覗き込むように表情を伺う名雪の前に、さしもの俺も動揺の色を隠せない。 蛇に睨まれた蛙の如く、俺はただ硬直するばかりだ。 その蛙をもてあそぶかのように、名雪は本棚と俺の顔を代わる代わる見据え、 意味ありげに「ふーん」とか「へー」とか、つぶやいてみたりする。 「さては、コミケで買った同人誌、とか」 鋭い名雪の一言。 もしや、バレてるのか!? 「祐一、図星だね」 名雪…さては知っていたのだな… 「気にする事ないよ、私も同人誌好きだもん」 そ、そうか、なら見せても大丈夫だろう。 「好きなの見ていいぞ」 「ありがとう祐一、大好き、だよっ」 言うが早いか、名雪は名雪とは思えぬ俊敏さで本を一冊抜き出して読み始める。 そんな名雪の表情がだんだん曇っていくのがわかった。 「なんで祐一がJUNE本持ってるの…」 「だから名雪にはつまらないって言っただろ」 おわり