#Kanonとデジキャラットのミックスパロディー。 DigiKanon 作:GLUMip 屋台のある横丁に顔を出すと自慢のつぶあんの匂いがする。 少女〜月宮あゆ〜はその匂いにおびき寄せられるようにふらふらと屋台に寄っていった。 「おじさんっ!たい焼きちょうだい!」 「いくつだにょ?」 にょ!? …よくよく見てみれば、普段は人懐っこい人相の親父がいるはずのその場所に、 奇妙な風体の女の子がいるのだった。 なぜ、そんな重要な出来事に今まで気づかなかったのかといえば、あゆがあまりに たい焼きに注目していたためであった。 見馴れぬ少女に首を傾げながらも、あゆは注文することを忘れない。 「5つ!」 「はいにょ。おまちどうさまにょ!」 威勢だけは親父譲りの見なれぬ少女。 しかし、そんな事はあゆにとってどうでもいい事だった。 目の前のたい焼きを見つめていれば、あゆは十分幸せだったからだ。 しかしその幸せも長くは続かない。 「あれ…あれ!?」 愛用のダッフルのポケットを探すが、ない。 「あはは…」 照れ隠しにあゆは苦笑してみせる。 いつもの親父なら、ここでツケ払いにしてくれるのだが… 見馴れぬ少女の両眼が鈍い光を放っている。 「お客さん、食い逃げですかにょ〜」 じり。じり。 鈍い光はあゆを凝視して一歩づつ迫ってくる。 「あわ。あわわっ…」 身に迫る危機を感じたあゆは、脱兎の如く駆け出した。 「うぐぅっ…」 みるみるうちにあゆが小さくなって、路地の角に消えた。 早い。 横で見ていた男三人が感心していた。 「いやー、食い逃げましたなぁ」 おわり