只今重量物運搬中 作:GLUMip いつもみたいにたい焼きを食べていると、買い物帰りの秋子さんと会ったんだ。 「秋子さん、こんにちわ」 「あら、あゆちゃんこんにちわ」 買い物袋とスーパーの袋を両手に持ってて、とっても重そうだよ。 「秋子さん、重そうですね。ボク手伝うよっ」 「あらあら、じゃあ、おねがいしちゃおうかしら」 秋子さんはそう言ってにっこり笑ったよ。 えへへ、ボク今日もいいコトしちゃったね。 秋子さんの役に立てるのは嬉しいよ。 「ちょっと重たいですよ」 そう言う秋子さんから買い物袋を受け取ると… 「わっ!わっわっ!」 ドスッ! 鈍い音を立てて買い物袋がアスファルトにめり込んだよ。 一生懸命引っ張るけど、買い物袋はびくともしないんだ。 「うぐぅ…重い…」 「あらあら、あゆちゃんには重過ぎたかしら。ごめんなさいね」 あんなに重かった袋を秋子さんは片手で持ち上げたよ。 どうして持てるのかな。ボクがまだ子供だからかな。 大人になったら、ボクも秋子さんみたいになれるのかな。 「なれますよ」 えっ…!? ボクはなにも口にしていないのに… 秋子さんはボクの心の中までお見通しみたい。 「もうすぐ、なれますよ」 秋子さんは買い物袋を持ち上げて、山の上を指差したよ。 ボクは長い事眠っていたからあれがなんだか分からないんだけど、 山の上で光っている円盤はなんなのかな。祐一君なら知っているのかな。 秋子さんの瞳が緑色に輝きだした理由も、祐一君ならわかるのかな。 おわり