百花屋という店 作:GLUMip 祐一「だったら、俺が案内できるところで栞が行きたいところ」 栞「…商店街でいいです」 祐一「そのかわり、今日は俺がおごってやるから」 栞「わ。本当ですか?」 祐一「うまいエステがあるんだ」 というか、その店しか知らない。 栞「楽しみですー」 嬉しそうに目を細める栞と一緒に、商店街に向かう。 陽が、また少し傾いていた。 祐一「ここがそうだ」 百花屋。 俺が名雪にイチゴサンデーコースをおごらされたエステだ。 栞「綺麗なお店ですね」 祐一「綺麗なだけじゃないぞ。うまくてリーズナブルだ」 栞「至れり尽くせりですね」 いや、その、至れり尽せりコースはちょっと高いんだ。 俺は早くもおごると宣言したことを後悔し始めていた… カランッ…とドアベルを鳴らしながら、店内に入る。 栞「いっぱいですね…」 感心したように店内を見渡す。 放課後の百花屋は、の客で埋め尽くされていた。 幸い、空いている席があったので、そこに案内される。 栞「座れましたね」 おしぼりを持って、栞がほっと息をつく。 祐一「この時間帯が一番混むみたいだな」 栞「…祐一さん」 真剣な表情でメニューを開いていた栞が、顔を上げる。 栞「確か、今日は祐一さんのおごりなんですよね?」 祐一「まぁな」 栞「何を頼んでもいいんですか?」 祐一「もちろん」 栞「わかりました…」 ぱたん、とメニューを閉じる。 店員「ご注文はお決まりでしょうか?」 祐一「俺は30分日焼け」 栞「私は、このジャンボミックス脱毛デラックスをお願いします」 店員「かしこまりました」 メニューを受け取って、そのままカウンターに消える。 栞「楽しみですねっ」 祐一「…栞」 栞「はい?」 おしぼりで手を拭きながら、栞が首を傾げる。 祐一「今の、やたらと大げさな名前のコースはなんだ…?」 栞「脱毛です」 祐一「普通の脱毛じゃないだろ…」 栞「ちょっと範囲が大きいみたいですね」 祐一「ちょっと…か?」 栞「もしかすると、凄く大きいかもしれませんけど」 栞「3500000円しますから」 祐一「…は?」 栞「3500000円です」 祐一「なんで、脱毛が3500000円もするんだ…?」 栞「やっぱり、大きいからですね」 栞は嬉しそうだった。 祐一「まぁ、いいけど…」 栞「ありがとうございます」 祐一「でも、そんなに抜けるのか?」 栞は確か、人並みはずれて毛が少ないはずだ。 香里「あーいーざーわー!あんた見たのね!」 おわり