国家機密 作:GLUMip 「秋子さん…このジャムの中身、何ですか?」 「企業秘密です」 秋子さんはいつだって即答する。 決断を求めれば「了承」 しかし、いつだって一番大事な部分は「企業秘密です」 この一言でいつもうやむやにされてしまう。 まぁ、秋子さんの事だ。言えばトゲになるようなことや、心にしまっておきたい大事なことも 「企業秘密です」の言葉でユーモアにしてしまえば八方丸く収まる。そんな考えもあるんだろう。 そんなある日。 台所でうがいをしていると、ガスレンジに鍵穴がついているのに気がついた。 なんだこれ。 火力を調整するコックの下についていて、家の鍵穴と同じような形をしている。 試しに爪楊枝を持ってきて鍵穴を探ってみるが手応えがない。 いぶかしがっていると運良く秋子さんがやってきた。 「あ、秋子さん。この鍵穴みたいなの、なんですか?」 瞬間、秋子さんは動きを止め、顔を引きつらせた。 「祐一さんッ!」 秋子さんは凄い剣幕で爪楊枝を取り上げた。 「あ…あの、俺、なにか悪い事…」 おどおどする俺を正面から見据えて、秋子さんは一喝した。 「国家機密ですッ!」 おわり