あゆの声は… 作:GLUMip 「祐一君っ!」 ぶんぶんと手を振ってたい焼きを抱えた少女が走ってくる。 「ボクやったよっ!」 「こらっ!AIR言葉はどうしたんだエア!」 あゆ言葉を話す少女に向かって俺は一喝したが、少女は全く気にせずに走ってくるのだった。 どさっ 「…うぐぅ」 久々の激突。 痛い。 「うぐぅ…だからどいてって」 「言ってないだろ、全然」 ちなみに俺の顔の上はお約束通りほかほかのたい焼きが乗っている。 久々のたい焼き。 熱い。 「たい焼き、熱いぞ」 「あっ…やっぱりたい焼きは焼き立てが一番だね」 「それはいいからどいてくれ」 図らずもあゆに押し倒される格好になってしまったが、こんな状態を人に見られたら何を言われるか分かったもんじゃない。 「そ…そうだ、大変なんだよ祐一君っ!」 「AIR言葉はどうしたんだエア!」 「それでどころじゃないんだよっ!Kanonがコンシューマーに移植されるんだよ!」 「なにっ!それは本当か?」 「これでAIRに怯えなくても大丈夫だよっ!AIR言葉なんて馬鹿みたいな言葉使わなくて済むんだよっ!」 AIR言葉の発案者は他でもない俺であるだけに、馬鹿みたいなというくだりに少しショックを受ける。 「それで、何に移植されるんだ?ピピン?それともディスクシステムか!?」 残念な事にさりげない俺のジョークもあゆには通じないようだった。 「ドリームキャストっていうゲーム機らしいんだよ」 ふむ…DCか… って、DC!? 「…と言う事はなんだ、その、CDで供給されて声が出るようになるのか」 「そうかもしれないね。ボクのこの声をみんなに聞かせてあげられるなんて、ボク嬉しいよ」 「…いや…声優による吹き替えだろ」 あゆは露骨に顔をしかめて抗議した。 「なんでっ!どうして僕の声じゃ駄目なの?」 どうやらあゆは自覚がないらしい。 自分の声が篠原ともえにうりふたつである事に… おわり