寝言ごとごと
作:GLUMip


その時、わたしは寝ぼけていたのかもしれない。
けろぴーと一緒だったはずの布団の上から、気がついたらテーブルの上にいた。
よく覚えていないけど、今日も祐一が起こしてくれたんだ。
そう思うとわたしは嬉しくなる。
今日も祐一におはようを言おう。
そして、祐一と一緒の一日を過ごそう。
…それはきっと、素敵な一日になるに違いないよ…
そんなことを考えながら、振り返ったときだった。

幽鬼のように、ふらりふらり。
真っ青な顔をした祐一が体を引きずるようにして歩いてくる…
「祐一、大丈夫…?」
声をかけた、次の瞬間。
祐一は崩れ落ちるようにして倒れた。

「祐一!祐一っ!」
ベッドの上で、祐一は熱にうなされなれてうわごとを呟いている。
わたしは祐一の手を軽く握った…
「……な………、………き…」
苦しそうに息をしていた祐一の唇から漏れる、かすかな声。
もしかして、わたしを呼んでいるの!?
「祐一っ…」
名前を呼んで手を握りしめる。
もう一度。
再び、祐一の唇からかすかな声が…
「食べないのか、たいやき…」
バシーン!


………。
……。
…。

痛烈なビンタで目が覚めた。
あれ、確かあゆが山盛りのたい焼きを食い残していたはずじゃ…
見ると泣きながら部屋を出てゆく名雪の姿があった。
「祐一の馬鹿〜!」
俺、何か悪い事したっけ!?

おわり