あるねこの日 作:GLUMip ねこが日溜りであくびをする。 「ねこさんだぁ、ねこさんがいるよぅ」 俺は、だめだめ、と制止する。 「ねこーねこー」 ぐずるような声を出して、ふらふらとねこに接近する。 まずい、名雪は猫アレルギーなのだ。 肩をつかんで、お前猫アレルギーだろ、と制止する。 「ねーこーねーこー」 それでも名雪は夢遊病患者のようにふらふらとねこに接近する。 仕方なしに、後ろから羽交い締めにして、制止する。 「ね〜こ〜ね〜こ〜」 顔を紅潮させながらも、なおもねこを追う名雪の目。 虚空をさまよう、名雪の手。 だんだん肩が震えてきた。 「ね〜〜〜ハァハァ・・・こ〜〜〜ハァハァ」 息も荒い。 ヤバイのではないか? よだれも垂れてきた。 「ハァハァハァハァ」 もはや荒い吐息しか聞こえない。 歯がガチガチと鳴る。 体全体がビクビクと震える。 全身に脂汗が浮かぶ。顔を覗き込むと白目をむいている。 ねこが、立ちあがった。 次いで、角を曲がって視界から去ろうとした。 「ねこぉぉぉぉぉーッ!ぐはぁッ!!」 渾身の力で抵抗する名雪に思いっきりボディブロー。 名雪は意識を失い俺の体に倒れ込む。 ・・・それにしても・・・ 名雪の猫好きにも困ったもんだ。 おわり