力士声 作:GLUMip 「丸々と肥えた力士の声で読んでやろう」 少女マンガ「恋はいつだって唐突だ」を苦しそうな声で読み始めると すかさず真琴が抗議の声を上げた。 「返しなさいよぅ!」 言うが早いか、真琴は俺の手から本を引ったくり、おもむろにページを開く。 「いい?真琴がお手本を見せるからちゃんと聞きなさいよぅ!」 真琴は俺の顔に一瞥をくれると、すぐに視線を本に落として音読を始めた。 意外や意外。これが実に堂々とした朗読だった。 花マルの百点満点の立派な発音だ。 とても俺には真似ができない。 こんな力士声。 おわり