再会 作:GLUMip ここのところは、魔物退治の訓練に根を詰めすぎている。息抜きもたまには必要だ。 商店街に足を向けると、久々に会う顔があった。 「探し物、見つかったんだよ…」 言葉とは裏腹に、寂しげな声。 「探していた物が見つかったから…ボク、もうこの辺りには来ないと思うんだ…」 「だから…祐一君とも、もうあんまり会えなくなるね…」 そう…なのか… あゆとはいえ、いつも顔を合わせた人がいなくなってしまうのは寂しい事と言えた。 それに…今、俺のまわりには仲間が少ない。 自分で選んだ道、決して後悔はしていないが、ときどき日常への憧憬が胸をよぎるのも また事実であった。 「ボクは、この街にいる理由がなくなっちゃったから…」 「だったら、今度は俺の方からあゆの街に遊びに行ってやる」 「…祐一君」 「また、嫌っていうくらい会えるさ」 「…そう…だね」 あゆの背中が小さくなって、雑踏の中に消える。 「また、会えるさ…」 そうつぶやいた俺の声を聞く人は、もういない。 家で体を少し休め、夜の学校へ。 夜食のバナナを食べていると、奴の気配。 俺が振り返ると、それを舞が手で制した。 舞がゆっくりと、俺の脇を抜け、歩いてゆく。 そして、しばらくいった先で、その剣を振り下ろした。 一閃! 手応えがあったようだ。 よし、いいぞ、と俺も思わず拳を握り締める。 刹那! 俺の身体が宙に舞った。 コマ送りのビデオのように、振り向く舞の姿が見える。 しかしそれは遠ざかってゆくと共に、舞の表情は絶望を示す悲痛なものに変わってゆく。 恐ろしい速度で俺の身体は『押され』て廊下を縦断し、最後に非常口の窓を突き破った。 それまでだった。 それから先は、覚えていない。 目が覚めた所は見知らぬ街だった。 よくよく周りを見ると、ただ一人、顔を知っている人がいた。 「よぉ、また会ったな」 あゆはぽかんと口を開けたままこっちを見つめている。 「約束通り、あゆの街に遊びに来たぞ」 あゆは目を潤ませて俺を見つめている。 今にも泣き出しそうだ。そんなに再会が嬉しいのか!? しかし、まいったな。 ここはどこなんだ。 あゆがこれじゃぁ、実は迷子になったなんて格好悪くて言えないじゃないか。 おわり