そんなこと、できない 作:GLUMip その羽は淡い桃色だった。 赤いカチューシャは俺のプレゼント。 渡せなかった、俺のプレゼント。 赤いカチューシャの上に、輝くリング。 眩いリングは、天使のあかし。 認めたくない。しかし、俺の前にあるのは、ただ事実だけ。 6年間眠っていたマスコットを片手に下げた天使が、俺に微笑みかける。 最後の願いは、ボクに叶えさせて、と。 「どんな願いでもいいのか?」 「ボクにできるお願いなら、なんでもいいよ」 「なぁ、あゆ。この街で一緒に暮らせないか!?」 あゆは悲しげに首を振った。 ボクがこの世界からいなくなっちゃうから、かわりに願いが叶うんだよと言って… それなら、俺の願いはただ一つ。 「あゆ、だったら、俺も一緒に連れていってくれ!」 困ったような、悲しんでいるような… 「ボクにそんなことはできないよ」 口元から僅かに漏れる、あゆの声。 「お前がいない世界に生きていても意味がないんだ。お願いだ、俺も一緒に!」 あゆは黙って首を横に振るばかりだ。 「あゆ、なぜだ!なぜ連れていってくれないんだ!」 「祐一君…」 あゆがこれほどまで悲しげな顔を見せたのは、後にも先にも、これっきりだった。 「祐一君は子供の頃、蟻を踏んで遊んでいたよね…それから、蛙にロケット花火を挿して…」 次々と俺の罪状が告発される。 「そんな事をやっていたんじゃ、ボクと一緒の所にはいけないんだよ…」 おわり