朝食攻防 咲く:GLUMip 「祐一さん、どのジャムを付けますか?」 トーストを片手に秋子さんがにこやかな笑みを浮かべている。 前に置かれているのは色とりどりのジャムが入った瓶だ。 赤、紫………いや、あのオレンジの色をしたのは危険だ。 俺は子供の頃から成分のわからないものは食っちゃ駄目だと親に諭されて、 ロクに菓子も与えられず育ってきたから、成分の分からない物は食べないようにしているのだ。 「どのジャムにしますか?」 まずい、このままではジャムをつけられてしまう。 「俺、甘いの苦手だから…」 「甘くないジャムもありますよ」 しまった!墓穴を掘ったか! 「いえっ…あのっ…バター!そう、バターが好きなんです」 そうですか、と、秋子さんは残念そうな顔をして瓶をしまい込んだ。 これで今日の朝食は平和に過ごせる。 安堵したのも束の間。 「祐一さん、どのバターを付けますか?」 トーストを片手に秋子さんがにこやかな笑みを浮かべている。 前に置かれているのは色とりどりのバターが入ったタッパーだ。 白、黄色………いや、あのオレンジの色をしたのは危険そうだな… おわり