1月8日の転校生 作:GLUMip 「着いたわ」 香里の声に前を見ると、そこは昇降口だった。 「ここが昇降口」 「それぐらい知ってるって」 「知ってる割には思いっきり校舎裏で途方に暮れてたじゃない」 「ぐは…見てたのか…」 「不審な行動を取ってるから、てっきりどこかの秘密機関から密命を帯びてここに潜入したんじゃないかって思ったわよ」 「俺は炎の転校生だ」 「ちょっとびっくり」 本当にびっくりしたような表情で、靴を履き替えようとして取り落としている。 俺もその隣で自分の靴をロッカーから取り出す。 その靴は、朝の雪でぐっしょりと湿ったままだった。 つくづく以前とは違う生活に改めてため息が出る。 ふと横を向くと、香里が俺の方を見て笑っていた。 「…どうした?」 「滝沢君って、名雪に聞いてたのと一緒だなって思ってね」 上履きを靴箱に戻して、ぴょんと俺の横に並ぶ。 「名雪のやつ、俺のことなんて言ってたんだ?」 「うん。熱い人だって言ってた」 おわり