届かぬ悲鳴 作:GLUMip 「…もし、祐一さんに変なことをされそうになったら、悲鳴をあげてくださいね」 秋子さんがひどいことを言う。 栞も素直に頷いて、俺達は二階に上がった。 二人きりの空間。 …俺は自然と栞を求めていた。 「…ダメ、ですよ」 栞が、柔らかく拒絶の意志を覗かせる。 「…やっぱり、恥ずかしいです」 「…悲鳴、あげるかもしれません」 栞は微妙に視線を泳がせて、寂しそうに目を伏せる。 しかし、収まりがつかないのは俺の方だった。 「…栞っ!」 思わず手に力が入る。 ビリッ! 鈍い音がして栞の服がわずかに切れてしまった。 「キャーっ!」 たまらず栞が悲鳴をあげる。 声を聞きつけた秋子さんがバタバタと走ってきて扉を開けた。 「どうしたんですか!?」 まずい。 ベッドの上で栞の上にのしかかっている状態を見られてしまった。 これはどう見ても俺が栞を襲っているようにしか見えない。 「あ…あ…あ…秋子さんっ!これはそのあの」 秋子さんは呆然とした表情で俺を見つめていたかと思うと、左手を頬にあてがった。 「あらあら…お楽しみの最中だったんですね…」 「お邪魔だったかしら。私にかまわず続けてくださいね」 そう言うと秋子さんは静かに扉を閉めて帰っていった。 おわり