鶴姫伝説について
2003.3.29 GLUMip
一般に伝えられる鶴姫伝説では鶴姫が「紺糸裾素懸威胴丸」を着て戦ったとされているが、注意すべきはこの鎧が「鶴姫が着用した物」として伝わってきた物ではないということである。
鶴姫伝説は小説に基づく創作であり史実ではないというのがその内容である。
三島安精著「つる姫さま 原題 -海と女と鎧-」という小説の前書きに「たいした資料でもないと思って意にもとめなかった「大祝家記」の中に、三十一代大祝安用の娘「つる」、俗に「鶴姫」の歴史が記されていることだった。左側読みあらためて行くうちに、その鎧は鶴姫の着用した物であろうと考えるようになった。時代は室町末期、大三島合戦が合った頃の鎧である。そこで興味が涌き、これに関連した資料を研究すればするほど歴史が次第にはっきりとしてきた」とあり、どこまでが史実でどこからが小説の創作なのか定かにはされていない。
なお、鶴姫伝説自体は小説内に「大祝家記」からの引用が方々でなされているので事実であろうことが分かる。
鶴姫の鎧を保管する大山祇神社(おおやまづみ)発行の「大三島の胴丸」には「社伝に天文十年の大三島合戦に大祝安用の息女鶴姫が着用した胴丸と伝えられている」と記されているが、前述の前書きとは相違する記述であり、疑問が残る。

とはいえ、鶴姫が実在の人物として古文書に残っており、また同時期に作られたこのような形状の鎧が存在するのは事実であることから、これは鶴姫の鎧であると想像するのは実に楽しいことであるのに変わりはなく、地元大三島町が「三島水軍鶴姫祭り」などを催しているのも喜ばしい事だし、「鶴姫伝奇」のようにTVドラマになっているのも嬉しい話である。
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