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紺糸裾素懸威胴丸(こんいとすそすがけおどしどうまる)
俗に「鶴姫の鎧」と言われている物で、日本唯一の女鎧と言われている。
さて、肝心の鎧であるが水軍用らしく、草摺が水を含んで重くならないように威毛(糸の部分)を減らしているところや草摺が細かく分かれているところ、また腰細の外観は女性用の鎧との想像をするに難くなく、優美な外観と相まって見ていて楽しい鎧である。
実物を見ると胸部のふくらみと腰の細さには思わず息をのむ。 写真だとその感じを掴みにくいのが残念である。
鶴姫については、小説「つる姫さま(原題:海と女と鎧)」をその出自としたTVドラマ「鶴姫伝奇」が有名である。
番組で使われた鎧は残念ながら紺糸裾素懸威胴丸ではないが、ファンなら是非見ておきたい。
TVドラマの資料はこちら。(1.94MB) update:2003/9/13 |
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紺糸毛引威胴丸童具足
福山城展示の胴丸。
城主の子息用として作られた物で、14歳の少年の体に合わせた大きさとなっており、小さな袖と胴に目を見張る。
14歳とはいえ、当時の体躯なのだから推して知るべしで、現物は写真で受けるイメージよりも遙かに小さく、稚児鎧の感がある。丸まった「壷袖」や美しい紺糸は勇壮な鎧とは一線を画す別の良さがある。 |
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黒漆塗本小札色々威腹巻
腹巻であるので、背中で引き合わせているのが分かる。(つまり背中に隙間が出来る)
本品は退色の後が見られるが色々威(様々な紐で鉄・革などによる小片(小札・こざね)を縫い合わせること)の名に相応しく華やかであったろうと想像できる。 |
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金小札紺糸威胴丸具足
室町時代の鎧を再現しようと江戸時代に作った品らしく、兜や喉輪の重厚感を初めとする威圧感がある一品。
江戸以降の鎧は観賞用であるので実践には向かない装飾過剰な物が多く、例えば左右の胸のあたりにある金具も、元は采配付の環と言って片胸にしか存在しなかった物が装飾として扱われるようになり、両胸に付けられるようになった物である。
丸みがかった袖の造作にも着目したい。
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縹糸威腹当(はなだいとおどしはらあて)
最も簡略な鎧で、腹当の名の通り、腹部のみを防護し、背中や大腿より下部を護る物はない。
現存する腹当ては稀少で、これは江戸時代後期に鑑賞を目的として作られた物。
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赤糸威鎧
大鎧と胴丸の特徴を兼ね備えた鎧で、現存するのはこの一領(りょう・鎧を数える単位)のみである。
肩を守る大袖、胸の上に垂れて見える栴檀板(せんだんいた)鳩尾板(きゅうびのいた)がありながらも、草摺は胴丸のように七間(7つ)に分かれており、歩行の便を図っている。
総角(あげまき・背中に見える紐)の形状が美しい。 |
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色々威腹巻
埼玉県川越市「川越歴史博物館」収蔵品。(当館は撮影が許可されている数少ない博物館である)
腹巻の特徴である大きな背中の分かれ目が鏡越しに伺える。
体にフィットする壷袖、細かく分かれた草摺と見栄えが大変良い。
ガラス越しに撮影した物なので反射してしまい見苦しい画像もあるものの、そこはご容赦を。
※右下の画像は印刷して資料に出来るようなサイズにしてあります。(10/17) |
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大鎧サンプル
香川県立歴史博物館の体験学習コーナーにて撮影した物。(10/28) |
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胴丸サンプル
胴丸作画資料(10/31) |